医学部の英語 文法問題解説します

生徒に使ってもらいたい医学部専用の問題集が市販されていないので、自分で書いていくことにしました。医学部志望のみなさん、どうぞよろしくお願いします。

近畿大学医学部 誤文訂正問題

近畿大学医学部

[問題]次の英文中の下線部には文法・語法上不適切な箇所がある。その箇所を答え、正しい形に直しなさい。(*実際の試験では「正しい形に直しなさい。」という指示はありません。)

 

Simon hasn't decided yet ①if he will go to ②the mountains ③or to the sea ④while the holidays.

 

 

 [ヒント] 品詞がポイントです。前置詞と従属接続詞の違い大丈夫ですか?

(答えは記事の一番下にあります。)

 

 

[解説]

この問題を解くためには前置詞と従属接続詞の違いを知っておくことが必要です。以下のルールを覚えておいてください。

 

前置詞   …名詞(前置詞のO)と1セットになって形容詞句か副詞句を作る

従属接続詞 …完全な文と1セットになって副詞節、that, if whetherは名詞節も作る

*句:SVなしの2語以上のかたまり        節:SVありの2語以上のかたまり

 

例えば、The boy from America live in the area.という文において前置詞は何がありますか?fromとinですね。前置詞に関しては必ず以下のステップを踏まえるようにしてください。

 

前置詞の発見

1セットになっている名詞(前置詞のO)の発見

名詞を説明しているなら形容詞句なので(        )、名詞以外を説明しているなら副詞句なので<        >

必ずM(修飾語)になるので文型を考える時は無視する。

 

先ほどのThe boy from America live in the area.という文におけるfromとinで実践してみますね。

 

前置詞fromの発見

1セットになっている名詞(前置詞のO)America の発見

名詞The boyを説明して「アメリカ出身のその男の子」となる形容詞句なので(        )をする

必ずM(修飾語)になるので文型を考える時は無視する。

 

前置詞のinの発見

1セットになっている名詞(前置詞のO)the areaの発見

動詞liveを説明して「その地域に住んでいる」となる副詞句なので<        >

必ずM(修飾語)になるので文型を考える時は無視する。

 

となります。以下のようになります。

 

The boy (from America) live <in the area>.

 

「カタマリでとらえる」というのは英語ができるようになる上で非常に重要です。まずは目に見えるようにカッコをつけてカタマリでとらえる感覚をつかんでいくことが大切です。

 

次に従属接続詞について。接続詞に関しては等位接続詞と従属接続詞の2つがあります。等位接続詞については辞書や学者によって定義がバラバラな部分がありますが、とりあえずand, but, orを基本の等位接続詞として覚えておいてください。そして、等位接続詞以外の全ての接続詞が従属接続詞となります。例えば、He can speak English well because he lived in America in his childhood.という文において従属接続詞は何がありますか?becauseですね。従属接続詞に関しては必ず以下のステップを踏まえるようにしてください。

 

従属接続詞の発見

1セットになっている完全な文の発見

that, if whether以外は無条件で副詞節なので<        >、thatは基本名詞節なので[          ]、ifとwhetherはその都度考えて<        >か[          ]

 

先ほどのI lived in Kochi when I was young.という文におけるbecauseで実践してみますね。

 

従属接続詞becauseの発見

1セットになっている完全な文he lived in America in his childhoodの発見

becauseは副詞節しか作らないので<        >

 

となります。以下のようになります。

 

He can speak English well <because he lived in America <in his childhood>>.

*ちなみにin his childhoodはlivedを説明する副詞句ですね。

 

前回も掲載した品詞の表を以下に再掲しておきます。

 

動詞

動作・状態を表す

名詞[ ]

①S  ②O  ③C  ④前置詞のO  ⑤同格

形容詞( )

名詞を説明する。①名詞修飾(=M)(右矢印) ②C(左矢印)

副詞< >

名詞以外を説明する →M

前置詞

名詞(前置詞のO)と1セットで①形容詞句(左矢印) ②副詞句(両矢印) →M

接続詞

等位接続詞→対等なものをつなぐ。and, but, or, (so, for)

 

従属接続詞→副詞節を作る。ただしthat, if, whetherは名詞節も作る

*句:SVなしの2語以上のかたまり        節:SVありの2語以上のかたまり

 

 

さて、導入も終わり、問題の解説に入りますね。問題文をもう一度再掲しておきます。

Simon hasn't decided yet ①if he will go to ②the mountains ③or to the sea ④while the holidays.

 

 

④whileの品詞はご存知でしょうか?whileの品詞は……従属接続詞です!なので後ろには完全な文が来なければならないのですが、後ろにはthe holidaysという名詞1つしかありません。ですのでここが間違いです。ではどう直せばいいのか?名詞と1セットになるのは前置詞ですから同じ「~間」という意味の前置詞であるduringに直すのが正解となります。whileとduringの品詞の違いは高校入試、大学入試、TOEICなど全てのレベルの試験において頻出です。

 

 

during …前置詞“during +名詞”のカタチで使う)

「~間」

while …従属接続詞“while + SV~(完全な文)”のカタチで使う)

 

 

なぜこのような品詞を問う問題が出るのか?品詞なんて分かってなくても大体読めますよね?それはやはり発信力を問いたいからです。duringとwhileの品詞の違いなんて分かっていなくても大体読めますが、正確に書き話すことはできないんです。英作文の力を見たいが大人の理由(いろいろあります)から英作文が出せない大学が、文法問題の体裁をとって英作文の力、すなわち発信力を問うてくるんですね。やはり、品詞は大事です。

 

長々とした説明をお読みいただきありがとうございました。質問があったり解説してほしい問題があったらコメントやtwitterで連絡を頂ければ、できる範囲でお応えしていきたいと思っています。ブックマークやリツイートも大きな励みになりますので、この記事が参考になった方がいらっしゃったら、よろしくお願いします。

 

[答え] ④while → during

 

[訳] サイモンはまだ休みの間に山に行くか海に行くか決めていない。