医学部の英語 文法問題解説します

生徒に使ってもらいたい医学部専用の問題集が市販されていないので、自分で書いていくことにしました。医学部志望のみなさん、どうぞよろしくお願いします。

福岡大学医学部 空所補充問題

[問題]空所に入れるのに適切なものを選べ。

福岡大学医学部

Having little experience with problems of this sort, they lack (         ) to properly deal with them.

①of the know-how     

②the knowledge necessary 

③the skill that needs    

④the ability needing

 

 

[ヒント] lackの語法がポイントです。英作文でも間違いが多いポイントです。

 

 

[解説]

まず前半のHaving ~ sortまでの分詞構文のかたまりは「この種の問題に対する経験がほとんどなく」となります。さて、ここからです。

 

今までの指導経験から言うと①of the know-howを選んでしまう人が多いのですが、これは間違いです。確かにlack ofという表現はよく見ますが、よくよく思い出してください。その時のlackの品詞は何でしょうか??

 

分かりましたか?名詞ですね。例えば

 

Lack of sleep is likely to lead to serious mistakes.

 

 

のように使いますね。lackの語法に関しては以下の3つを覚えておいてください。

 

 

①lack ~ 「~が不足する」(lackは他動詞です)

ex) He lacks intelligence. 「彼には知性が欠けている。」

②be lacking in ~ 「~が不足している」(lackingは分詞の形容詞用法です)

ex) He is lacking in willpower. 「彼は意志力に欠けている。」

③lack of~ 「~の不足」(lackは名詞です)

ex) Lack of sleep is likely to lead to serious mistakes. 「睡眠不足によって深刻なミスにつながる可能性が高い。」

 

 

本問のlackは動詞として使われていますから①の他動詞としての語法を使うことになります。そこから①は違うと分かります。

 

ちなみにですが、「自動詞」と「他動詞」という文法用語は大丈夫でしょうか?

 

自動詞…Oをとれない。

他動詞…Oをとる。

 

例えば、arrive「到着する」を使った以下の誤文を見てください。

 

(×) I arrived the place at ten yesterday. 「昨日10時にその場所に着いた。」

 

arriveは自動詞ですので、後ろにOをとることはできません。なので、後ろに名詞をつけたい時は必ずatやinのような前置詞をつけてMにしなければなりません。

 

(〇) I arrived at the place at ten yesterday. 「昨日10時にその場所に着いた。」

 

一方でreach「~に到着する」を使った以下の誤文を見てください。

(×) I reached at the place at ten yesterday. 「昨日10時にその場所に着いた。」

 

reachは他動詞ですので、後ろにOをとれる、というより、「とらなければならない」のです。なので前置詞を置かず後ろに名詞を置けます。

 

(〇) I reached the place at ten yesterday. 「昨日10時にその場所に着いた。」

 

主に自動詞なのか他動詞なのかは9割方以下の方法で区別することができます。

 

自動詞…「何を?」・「誰を?」と聞けない

他動詞…「何を?」・「誰を?」と聞ける

 

例えば、run「走る」は「何を?」・「誰を?」と聞けるでしょうか?聞けないですね。なので主に自動詞です。hit「なぐる」はどうでしょうか?「何を?」・「誰を?」と聞けますね。なので主に他動詞です。

 

「9割方」とはっきりしないもの言いになってしまうのは、1割くらいこの判別法が通用しない動詞があるからです。例えば先ほどあげたreach「~に到着する」はこの判別法が通用しない動詞です。そしてこの1割くらいの例外的な他動詞が大学受験の文法・語法問題では頻出ポイントとなるところが、大学受験の辛いところです。次回はそこが狙われた問題を扱いたいと思いますので、楽しみにしておいてください。

 

さて、問題の解説に戻りますね。再掲します。

 

Having little experience with problems of this sort, they lack (         ) to properly deal with them.

of the know-how 

②the knowledge necessary 

③the skill that needs 

④the ability needing

 

まず③を選んだ方へ。③を選んだ場合thatは関係代名詞ですから「それらを適切に扱う必要がある技術が不足している。」となりますが意味が変ですね。これでは「技術が適切に扱う」という意味になってしまいますから×です。

 

次に④を選んだ方へ。④を選んだ場合needingは分詞の形容詞用法になりますから「それらを適切に扱う必要がある能力」となりますが、意味が変ですね。これも③を選んだ場合と同じように「能力が適切に扱う」という意味になってしまいますから×です。

 

ということで正解は②the knowledge necessaryとなります。これを選ぶとnecessary ~が形容詞のかたまりになり後ろからthe knowledgeを説明して「それらを適切に扱うのに必要な知識が不足している」となり意味も大丈夫ですね。ということで正解は②です。

 

[答え] ②the knowledge necessary

 

<Having little experience with problems of this sort>, they lack the knowledge (necessary <to properly deal with them>).

単語・熟語…sort:種類 deal with~:~を扱う、~に対処する

構造上の注意点…to properly deal with themはto不定詞の副詞的用法でnecessary(形容詞)を説明。その結果necessaryの作るかたまりが長くなったので、the knowledgeを後ろから説明している(形容詞の後置修飾)。

 

[訳] この種の問題にする経験がほとんどないので、彼らはこの種の問題に適切に対処するのに必要な知識が不足している。